第53回暇つぶし杯

バレーボール観戦と山旅と湯の記録

稲沢エントリオ2021.03.20-21①ポーランドday


バレーボール観戦の前後に山登り・温泉・景勝地巡りなど趣味を詰め込んだエクストリーム観戦の記録ですが、今回は感染防止を最優先に考えてコンパクトにリフレッシュしてきました。



2021.03.20-21
豊田合成エントリオ
ウルフドッグス名古屋vsパナソニックパンサーズ



この日はポルスカ対決を観に来た。



限定販売クレクのメッセージ入り🇵🇱 ポルスカ応援タオルを買い付けに来た。

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ミハウ・クビアク(パナソニックパンサーズ)。V.LEAGUE5シーズン目、1点に貪欲なファイター。V.LEAGUEの名物選手の1人となっている。ポルスカ(ポーランド代表チーム)のヘイネン監督が全幅の信頼を寄せるリーダー。2018年世界選手権優勝チームのキャプテン。
私が大好きな選手。


クレク、バルトシュ・カミル・クレク。しなやかでパワフルなポルスカの攻撃手。身長205、最高到達点370、ポーランド語の記事を翻訳ソフトに入れたら「爆撃機」と訳された。2018年世界選手権優勝時のMVP。
実はクビアクより前からクレクは大好きな選手。(気が多い)


日本人記者が褒めあげる彼らの記事には「世界選手権2014年,18年と2大会連続世界一に輝いたポルスカの」と枕詞が付きがちです。確かにポルスカは2014年にド派手な自国開催の世界選手権で40年振り(?)に世界一に輝きましたが、自分の印象ではクビアクって2014年出てたっけ?というくらい地味な印象だったし、クレクは2014年世界選手権で代表メンバーに入らなかった。その印象が強い。



代表落ちした理由は、これも噂好きのポーランドメディアの記事を翻訳ソフトに入れただけという情報源ですが、背中と腰に慢性的な故障を抱えていたとか、首脳陣と喧嘩して干されたとか。
その記事に「クレクがいなけりゃ勝てる(笑)」など嘲笑するコメントもあった。(どこの国のファンも…)




クレクを初めて知ったのは北京五輪翌年、ポーランド代表メンバーの一員として来日した2009年のグラチャン。当時の日本は若手の清水・福澤が攻撃の中心となり今では考えられませんがヨーロッパの古豪ポーランドから勝利を勝ち取ったのですね。


対峙する両国の若きエース。清水とクレク




え?誰?後ろから見ても毛量の多そうなKUREKって選手は?別人?


この時のクレク君(21歳)は力任せにバカバカ打ち、荒削りのレベルが店に出せるレベルでなく、交代させられると指のテーピングをぶちぶちにぶち切ってベンチにぶん投げるというチャーミングな若手でした。


2014年に首脳陣と喧嘩して干されたって噂もあながち創作ではなさそう。


2015年、二人は代表メンバーとしてワールドカップで来日。事実上の優勝決定戦と期待が高まるUSA戦では大会イチの好勝負で勝利を手にするも、手に入れかけたリオ五輪出場権を最後に指の間からするりと落とす。相手はイタリア、破壊王ザイツェフと世界のラスボス・ユアントレーナを止める事ができなかった。バタバタとボールを追いかけビーチバレーのように自己完結するプレーは「クビアク劇場」という言葉を産んでしまった。


この敗戦に落胆したポルスカメンバーの姿は印象深い。クビアクはいつまでもベンチから動けずにいた。


会場の外に出ると、脱いだユニフォームを手に持った上半身裸のクレクやミカが体育館の壁に背を付けて、地べたに座り込み目を押さえている姿があった。
しょんぼりとした姿、「お前らはザイツェフやユアントレーナには劣る」と烙印を押されたように。





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↑これは2020年天皇杯決勝でジェイテクトに敗れ、閉会式の準備のためベンチは全て片付けられたのに頑としてベンチから動かないクビアク。(敗けるとベンチから動けなくなる習性なのかも)




現在クビアク君33歳
クレク君32歳


清水邦広君34歳


ベテランになった今でも喜々としてバレーをする。今の自分では駄目だと常にブラッシュアップを続け無駄を削ぎ落とし常に脱皮を繰り返す彼らの姿は、野生動物のようにピュアでプリミティヴ。

国際大会観戦に恵まれた日本人ファンは、世界中のTOP選手たちが世界一を競いファイトし、吠え「お前は弱い」と何度も地べたに頭を押さえつけられる姿を見てきた。肉体を鍛えて技術を磨きメンタルを強化し信念を持ち成熟し強くなり続けてくれてありがとう。

その繰り返しを続ける、負けず嫌いで諦めの悪い選手たちが堪らなく健気で好きだ。


目線の先は東京五輪の代表入り。


前段の話が長くなった。私がナレーターだったら試合が始まらない。



V.LEAGUEに在籍するポーランド人選手二人が対戦するこの2daysは、ポーランド観光局を巻き込んでポーランドDAYという演出が凝らされた。マスクとフェイスシールドと民族衣装を着たスタッフがお出迎えするポーランド観光案内ブース。



エントリオ自慢の会場内大型モニターではポーランドの観光名所の映像が映し出された。おとぎ話のような街並み、ロマンチックな古城が溶け込む美しい自然。


クビアクもクレクもその映像を見上げていた。クビアクは近くにいた大竹に声をかけ映像を指差す。「ポーランドに行ったらあのお城に行くといいよ。素晴らしい景色だから」とでも話したのかな?いえ、大竹の反応を見ると下らないジョークか下ネタだった可能性が高い。




事前に収録された二人のインタビューも映し出された。



クレク:クビアクに初めて会ったのは中学生(ウルオボエ:高校生だったかも)の大会。僕は決勝には進めなかったけどクビアクは決勝に進んだ。その頃から将来はナショナルチームの中心になる選手だと思った。思い出深いのは2018年世界選手権で優勝したこと。同じチームで戦えた事は僕達の絆になっている。



クビアク:パナソニックパンサーズのミハウクビアクです。(日本語)
クレクの事は小さい頃から知ってます。そんなに小さくなかったけど、当時から2m近くありました。
彼は世界でナンバーワンのオポジットです。今日は勝利を目指します。(カメラ目線でいたずらげに)勝ちたいので。(ニヤリ)⬅めっちゃキュート。




ありきたりなインタビュー内容でしたが、異国のリーグでは異邦人の自分を、自分が何者かを最も理解しているクビアクから「世界ナンバーワンオポジット」と紹介されて、クレクは嬉しかったろうな。

クビアクって人たらしなんだよね。






私がナレーターだったら試合が始まらない2








ポルスカ対決に加え、ファイナルシリーズ出場をかけた両チームの直接対決は熱い試合の期待が高まっていたが、実際の白熱は予想の遙か上をいった。

スタートからクレクは凄まじいスパイクを連続して決める。

うあおおおおおお。

コロナ禍観戦ルールで声を出す声援は禁止されていましたが、早さ高さスピード、スパイクの爆音に驚きは抑えられなかった。


「おおおおおおおお」

「すっげ」

そしてもう1発
「おお」「うおおお」「うぅ」「おおおおお」

また1発
「うひひひひ」この試合中ずっとそこいらじゅうでどよめきが起こっていました。

V.LEAGUEの音ではないぞクレク。


飛ばすクレク、食い下がるパナという息詰まる構図で第一セットをウルフドッグス名古屋が先取。



「息が…息が…息が吸える」


墨田で見たFC東京戦が春高ぐらいで、この日のクレクのスタートは世界選手権のピークまで調子を上げたかのようだった。そんなクレクを見る事ができて嬉しくてヨダレが止まらずマスクが重くなる。


ノーブロックで撃ち込まれたら人類がレシーブするのは無理なんじゃないかな。

クレクが万全の状態でクビアクの足元に打ち込んでエースを取ると「あの馬鹿力め💢思いっきり打ちやがった」とクビアクが顔をしかめる場面も1度や2度ではなかった。クビアクですら反応できない。


クビアクだったら思いっきり打ってもいいよね!!


散歩当番がお母さんの時はゆっくり歩くけど、お父さんが海に連れてきてくれる日は全力出していいよね!とハイになって疾走する大型犬に腕を持ってかれるお父さんという構図。




動いたのはパナでした。
第2セットでスタートローテをくるっと動かします。

https://www.vleague.jp/form/b/25884


A票のが分かりやすいですね。

https://www.vleague.jp/form/a/25884


ポーランドDAYという事でクレクにクビアクをマッチアップさせました。
というのは表向きで、このローテで奏功したのは、清水が白岩さんの前衛を完全に封じたほうかもしれません。クレクは止められなくても他の追加点は断固阻止の構え。








観戦中に備忘録代わりにぷちぷち打ち込んでいる自分のタイムラインを見てみましょう。


5分後



きりがありません。


名古屋は前衛レフトの白岩さんが封じられ対角の高梨は放っておかれパナは名古屋をクレク一択に追い込みます。
この試合1セット平均クレクにスパイクで12点を叩かせる馬鹿試合を展開。


パナの誰も1対1ではクレクに勝てない。でも全員ならクレクを追い込める、クレクに勝てる。


クレクのパワーボムも1点、パナソニックスーパーサブ奏吾がレフトから得点するのも1点、山内がセンターからそよ風のようなスパイクを決めるのも小宮が正解なサーブからブロックを絞るのも1点と各々が役割をしっかりと果たします。その中でもクレクと同じポジションの清水の働きはは渋く感動的だった。高さもパワーもスピードもクレクに劣る。でも一歩も引かない。だから他のメンバーが続く。
「ふかっちゃん、全部あげていいよ」

白岩さんは攻撃を封じられても守備力が尋常じゃないので、加えてリベロの小川が調子こいてるので崩すのは簡単ではありませんが、セッターオミを中心に粘り強く視野の広いゲームを展開できたパナソニックに軍配があがりました。
リベロとの駆け引きは散々ドンコガと演じてきた。まだ甘えよ小僧(by妄想の中の永野)※わたしが小川選手に辛口なのは、大学バレーシーンで一番応援している明治大学の出身だからです。現状で満足するなという叱咤激励です(言い訳)


最後はクビアクがクレクをシャット。散々打たせておいて疲れたところをシャット。ブロックにフェイクっぽいモーションもあったかも。お前ひどいやつだな。


激しいゲーム進行でラインを割るフォルトはあっても単純なミスは1つもなく今季イチのベストバウトと推せるいいゲームでした。



3-1でパナソニックパンサーズの勝利。



ヒーローインタビューを聞いて余韻に浸ることなくとっとと移動。
今回は常滑に向かいます。


稲沢駅から尾張一宮名鉄中部国際空港行きに乗り換え。稲沢から約1時間の移動ですかね。人出の多い名古屋駅を避け知多半島を目指します。天気が良ければ伊勢湾が眺められたのでしょうがそれはそれ。




2021.03.20-21
豊田合成エントリオ②焼き物散歩編に続く