2019年09月22日
小田原アリーナ(神奈川県)
2019年度秋季関東大学一部バレーボールリーグ戦
早稲田大学vs日本体育大学

写真は会場近くの原っぱから見えた真っ白富士山、春季リーグ時に撮ったもの。
夏に雪が溶けちゃうので秋の富士山はまだ黒々しいです。
たしか小田原のシンボル・小田原城からは、箱根が邪魔で富士山は見えないんじゃなかったっけ。
ここまで来て良かった。春のこの印象がよくて秋も小田原を予定に入れていたが、この日はあいにく台風の接近につき雲隠れ。
小田原アリーナは「小田原駅」から小田急各駅停車に乗り換え蛍田駅から徒歩15分。蛍田駅からコンビニはあるけどのんびりした住宅街。
会場で食べるご飯は電車利用の場合は小田原駅で駅弁を購入。ハーフサイズの押し寿司。
旅行に来た感。
この日は車で来場。小田原アリーナは広大な駐車場完備。なんとかフィーバー時なら遠慮するべきだけど、海沿いの箱根駅伝のコースでおなじみの国道1号線を走りたくてドライブ。しかしすっかり忘れててナビ通りに内陸の小田原厚木道路でアプローチすることになったけど途中のパーキングで地元産のみかんジュースとおいしいパンを購入できたので遠足気分だった。
駐車場はガラガラ。今日は男女共催なんですけど。
このブログの基本コンセプトは「バレーボール観戦は旅行だよ」なので、観戦記的なものは避けていたのだけど。加えて、このページを投下する前に早稲田3年連続優勝という形で既にインカレまで幕を閉じているのでインカレの興奮まで盛り込んでるんですけど。
鬱陶しい上に記憶も曖昧な内容なのでオキモチとか「かもしれない」を連発する憶測記事とか嫌いな方はご遠慮ください。
早稲田大学vs日本体育大学
○25-22
○25-22
23-25○
○29-27
帳票は下記リンク先より(全試合分)
春・秋と全勝優勝をした早稲田にとって、この一勝はよくある平凡な一勝だったかもしれないし、結果だけ見てもヘーワセダツヨイネーなのだけど、観客席のおばさんの胸には刺さったよ、というお話。
途中までは隣のコートで行われていた筑波順大戦を見ていて、早稲田日体大戦は得点経過を眺めている程度だった。
第2セットまでは、競り合いながらも最後は抜け出す見慣れた「ワセダツヨイヨネー展開」
第3セットは日体大が奪う。
遠目に見ていても早稲田の動きが小さくなり下を向く姿が増え、逆に日体大コートが躍動しているのを感じ取れた。
日体大はセッターを河東に代えていた。
アーナルホドネー。
筑波が順大を3-1で下し終了。
天候次第では本日の最終戦を見ずにそのまま帰るつもりでいた。
ここ3年間、早稲田は年を追うごとに見る興味を失う程強かった。
「どうせ早稲田が勝つんでしょ。」
第4セット。スタートで飛び出したのは早稲田。2点、3点と点差を広げ村山や吉田が元気にコートを走り回っている。
息を吹き返したか。10点に届くまでは「こりゃ台風が小田原に来る前には帰れるな(このセットで早稲田勝つだろう)」と予感させ腰を落ち着けた。
自分のリアルタイム速報を掘り起こしても11-08まで早稲田が3点をリードしている。
ところがどっこい、日体大の猛攻と宮浦封じ大作戦が当たったようで、早稲田4連続失点。あれよあれよという間にひっくり返された。
この日のこのセット、なんせ攻撃の要3年生OPミヤウラが決まらない。相手ブロック1枚でもコースを限定されクロスは河東の好守備にひっかかると次はラインに嫌われ即失点。
ひっくり返されてなお相手に追加点を許し、早稲田が3点を追う展開に変わった。
相手のミスや、パスが意図通りに返ればセンター線、ルーキー大塚得意のバックアタックなどでサイドアウトは取れるがブレイクが取れない。
攻撃の要ミヤウラが決まらない、吉田も決まらない。吉田?吉田さんはじめましてかな?私。
ここで帳票を見直してみましょう。
大塚バックアタック11/15
77.3%の高い決定率
ルーキーの高い決定率には理由がある。
大塚を狙って打たれたボールはリベロ堀江が横からかっさらい、かっさらった勢いで場外へフレームアウト。大塚の滑走路をクリーンに空ける。ラリー中のニダンなど難しいボールは上がらない。後衛大塚には必ず前衛MBとのタンデム(時間差≠シンクロ)が使われる。今年の早稲田のストロングポイント。
ルーキーを大接待、間違えた、ルーキーがのびのびベストパフォーマンスできるよう仕組まれている。
若い戦力を最大に拡張させ、弱点を攻撃の数的有利と年齢構成でカバーしている、と客席のおばさんは邪推している。
早稲田コートに動揺が見えたのはこの中盤あたり。
崩れたボールを村山(3年MB)が前衛レフトの大塚(1年OH)に上げる。大塚は咄嗟に不細工に返球して相手に叩かれてしまった。早稲田らしくない失点。
ニダンはニダンを捌く事を宿命とされたミヤウラに託すのがセオリーだが、この瞬間、相手に封じられ決まっていないミヤウラに託せない迷いがあったのかもしれない。
自分にラストボールは上がってこないだろうという緩みがあったのかもしれない。
サイドアウトは取れてもブレイクが取れない。
「もう1点」が遠く感じた瞬間だった。
キツイな早稲田。
長くなりそうだ。
台風が近づいてるんですけど。
その動揺の連鎖を武藤(4年背番号2MB)が叩き切る。
冷静なサーブルーティンから
正解なコントロールサーブで絶妙に狙い、相手のバランスを崩す。
サービスエース、サービスエース
あんなに欲しかったブレイクが
あっさり 失笑
武藤のサーブでブレイクはエース2本を含む3連続だったかな。
追い付き、逆転。
これをきっかけに早稲田コート落ち着くかと思ったががが、日体大にばかばか打たれバタバタしリードを守れず再び追う展開に。
勝機は日体大の手にあった。
リベロで主将の堀江は守備範囲が広く有能な守備主。
が、安心の宇部商ブランドのパスヒッター・藤中(現ジェイテクト=ハチノフジナカ)が1年中早稲田コートに立った去年までのチームなら「どんなにリードしててもフジナカが後衛に回ったらもう勝てない」と恐れられていた。トランジション恐怖の一斉攻撃は芸術品だった。
フジナカの守備を早スポは「攻撃的レシーブ」と呼んだ。
ミネラルをたっぷり含んだ水を絶やすことなく海に注ぐ豊かな森があってこそ、海では美味しいウニが育つように。
宇部商ブランド藤中の攻撃型ディフェンスは森、去年の宮浦はウニだった。
都の西北~早稲田の森に~
まー、フジナカが前衛に回っても勝てませんでしたけど。
その藤中の代で唯一早稲田に黒星を付けたのが日体大と後で聞いた。ああ、あの早稲田大連勝を止めたのが。
また、7月に行われたナポリユニバで前早稲田セッター小林はこのように3ボールの連携について話していた事を思い出した。
最上級生の卒業とともに最高傑作と称賛された美しい完成形は潔く手放し、新しいチームをデザインするのが学生スポーツ。
攻撃型ディフェンスは一旦手放した。チームはキャンバスに描いては塗り重ね、描いては塗り重ねを繰り返し完成形を模索していた。
飾らずに言えば去年より攻撃力は高いがフロアディフェンスが弱い、なんだけど。
同じ能力の人間なんていない。そこを今コートにいる6人でどう補い戦力を高めるのか、それがやたら生々しく見える試合だった。
決まらなくてもOP宮浦は誰よりも大きく開く。
だからセッターは迷わず真っ直ぐな姿勢からバックトスを放つ。
あれ?セッター代わってない?みつき小林?→卒業しました。中村です。
ちょいちょい知らない事が多い。
どうせ早稲田が勝つんでしょ、って偏見で何も情報を仕入れてなかった。それでいて「どうせ早稲田が勝つんでしょ」アーナルホドネーと知った気になって嫌味を言っていた自分が恥ずかしくなり背筋が寒くなった。
真っ直ぐな姿勢からのバックトスは早稲田規格。トリッキーとは逆のタイプ。東亜セッターとは(略)
距離のあるレフトオープンは多少ブレてもバックトスは生命線。
ラインを割るフォルトはあっても宮浦にミスはない。際どいコースを狙った結果でミスではない。
ベンチは宮浦を下げない。
このメンバーでこの局面を打開しろ。絶対的な自信は送り出したスターティングメンバーかコンセプトか。
OPが開く、セッターは迷わず託す、決まらなくても宮浦の存在は相手の目の端から消えることはない。一点、一点、次のレフト次のセンター線のアシストになる。
MB村山が懸命にブロック枚数を増やすがちょっとバタ付く。ルーキーOH大塚がまだ大学レベルでは得意とは言えない守備でつなぐ。
早稲田はこのセットを落としてもまだタイスコア。でもギリギリの形相。負けない試合をするなら合格、早稲田のバレーはそうじゃない。勝つ試合なんだと。求めなければ楽になるのに、それを求めるから苦しい。
「どうせ早稲田が勝つんでしょ」と2000円払っていながら早く帰りたい客が素通りしても、客が1人もいない無観客試合でもチームは勝つ苦しさから背を向けないだろう。
日体大の少しイージーなティップ(フェイント)は、すかさず堀江が攻撃に繋げる。相手の隙は見逃さない。セッターに安定したボールが返えると反撃、ズドンと決まる。
クビアクの言葉を思い出す。
「重要なのは調子が悪くてもチームの勝利のために戦うこと。」
「重要なのはチームで勝つこと。」
「重要なのは相手を倒す強いメンタリティで戦うこと。」
クビアクの「重要なのは日めくりカレンダー」欲しいですよね。
やっと宮浦が決まった!しかし日体大の宮浦封じ大作戦は手を緩めない。3枚!ドシャット!
くぅーー
中盤少し火力が弱まったが、後半は息の詰まる1点の取り合い。見ているだけなのに、お尻の穴まで力が入る。
ようやく早稲田ベンチが動いた。
タイムではなくワンポイントブロッカーの投入。
ワンポイントブロッカーの投入が直接得点には繋がらなかったが、息を整える時間はできた。
まだタイムあるだろ?なぜタイム取らない?(早稲田はアナリスト陣も強い。超お強い。)
日体大にアドバンテージを握られ、相手の速攻にボールが上がる
撃たれる、
ここまでか、
そのボールを鉄の男・武藤がブロックで阻止
「重要なのは相手を倒す強いメンタリティ」
1点は1点だけど、崖っぷちにぶら下がっていたチーム全員の腕にもう一度力が入る1点がある。
まだ闘える。
チームがどんなに殴られても
チームがどんなに弱っても
「諦めるな」その言葉の底には「諦めちゃうかも(;・∀・)」という人間のソフトな感情が潜んでいる。それを追い払うために「諦めるな」と声を掛け合う。
武藤にはその動揺を感じない。
「重要なのは相手を倒す強いメンタリティ」
鉄人かな。ターミネーターかな。超人ハルクかな。
最後は村山のブロックだったかな。最後が村山のブロックって事は武藤のサーブだったのかな。
3-1
○25-22
○25-22
23-25○
○29-27
早稲田おめ日体大おつ
見返しても平凡にちょっと毛が生えた程度のスコアだったけど
直ぐに会場を去る気持ちになれず、今日も会場で早稲田の応援をしているはずのレディの顔を探してエントランスをウロウロした。
1番上のエントランスの床の寄せ木細工を上から照らす照明の演出は、その時に気がついた。外が暗くなったから気づいた。気付いてよかった。
もう一度帳票を見て見ましょう

早稲田、■■ばかり。
タイムも残していた。
鉄の男・武藤アタックノーミス
西 12/15 ノーミスの80% 鬼か